「民泊でゆく庄内地方の冬」

 現在千葉県でITの会社を経営しており、北海道、京都、東京、神奈川、埼玉に在住経験があります。山形県の有名な観光地としてまず思い浮かぶのは蔵王のスキー、次に米沢の伊達公といったところですが、一般論として他の地域は全国区ではあまりメジャーではないように思います。

 そんな私ですが、肘折温泉には行ってみたいと思うのです。森敦の「月山」という小説に、「白く輝くまどかな山」という表現があります。これは大蔵村の肘折温泉に逗留した著者による一人称小説ですが、肘折から眺める月山、それも目の前にあるというよりは、裾野に座す多くの小山を従えて、その上に遠く光るという幻想的な光景が描写されており、近代日本の文学散歩を趣味とする私のような人間には、一度この目で確かめてみたいと思わせる景色です。

 行くならば季節はもちろん冬で、できれば家族などを連れずに一人がいいでしょう。とはいえ、ある程度の年齢の家族持ちともなれば親父一人で旅に出るというのは難しいところもあるのですが、可能ならばやはりひとりでです。そこで、できれば一軒家を借りて、自分で地元の食材を調達して、料理して、食べる。温泉だけ使える施設があれば夜には適当に浸かりに行き、ゆっくりと、一週間くらいでしょうか、逗留する。

 月の山というくらいですから、タイミングを合わせて満月の夜に月山を眺めるプランは絶対に入れておきたいところです。デジタルデトックスという言葉がありますが、特に日々IT関係の仕事をしている自分としては、そういう時間の過ごし方をやってみたいなと思います。これには民泊が適しています。ともあれ、肘折は山の中なので、貸すような物件、昼にぶらつくエリアも少ないかもしれません。その場合は、少し山を下りて大蔵村内、あるいは新庄市内でもよいかもしれません。

 このあたりオプションですが、実際のところデジタルデトックスといっても完全に仕事から離れて大丈夫なのかとか、ずっと温泉におらずにもう少し広いエリアにアクセスできたほうが便利なんじゃないかとか、結局家族を連れていくことになったりしたらずっと肘折というわけにもいかないかもしれないなとか、そういうケースもありえますので、選択肢はある程度あったほうが観光客的には助かるでしょうね。

 民泊は都内、大阪市内、京都府内で利用したことがあり、また都内での運営に関わっていたこともあります。民泊新法により一度国内での運用スキームはリセットされてしまった感がありますが、特にアジアからの観光客には人気(日本の一般的な宿泊料金は人単位であるため、部屋単位で課金される外国人からは違和感を持たれやすく、柔軟な民泊の料金プランが好まれます)なので、新法下でのスキームが整備されれば、ビジネスチャンスは非常に大きいと思っております。

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